テオ・ヤンセン展
テオ・ヤンセン展最終日に行ってまいりました。
人の多さによる会場の狭さと、大きな可動式の作品の魅せ方には少し辛くなりましたが、よく見ることが出来ました。
彼の作品は主にクリーム色のプラスチックの細長いパイプで構成されていました。それをキネティックに組み合わせ、帆が風を受け、何本もの脚のような構造が歩くように動きます。
中には、電気を使わずして、水を察知し、避けて動くものもありました。
それはまるで生命体。
彼が創り出しているのは、人工生命体なのです。
さらに面白いのは、一つの作品を独立させて鑑賞するよりも、人工生命体の進化の系図として見れることです。
彼の作品群の、一番の祖先として設定されているのは、コンピュータの中で進化する、一見オタマジャクシのようなリニアメンタムという人工生命体です。
一連の人工生命体の進化を作品として創り上げてしまった彼はもはや、「神」です。神による万物の創造を実験しているような作品なのです。
現代のレオナルド・ダ・ヴィンチとも呼ばれる理由がよく分かります。
アイデアや設計プランのメモをとったノートも展示されていましたが、ダヴィンチのそれを彷彿とさせる、美的で圧倒されるものでした。
実際にオーストラリアのオペレーターが動かすデモンストレーションがあり、動いている様子と、ギシシシシシという音を体感することが出来ました。
出来れば、広い海の砂浜で、風を飲み込んで動く姿が見たいのですが……。
テオ・ヤンセンについて、実は今まで深く知ろうとしたことがなかったのですが、今回は、自分に無かった、壮大な視点に触れることになりました。
実際に本物を見に行くということの重要さを改めて感じます。
今日、数々ビーストを間近で見て、最も印象的だったのは、パイプ繋ぎ合わせに、白いビニールの結束バンドが使われていたことです。
ビーストからツンツンと飛び出した白い結束バンドが、まるで生き物のトゲや細かい骨のように見えました。
何気ないようで計算し尽くされた、人工生命体の創造。
神の実験に立ち会えたようで、とても得した気分で美術館を後にしました。
次は沖縄だそうです。
まだ、テオ・ヤンセンの人工生命体に出会われてない方は、この際沖縄旅行を兼ねて(笑)
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